解体工事で一番費用が掛かる作業とは?
解体工事で一番費用がかかる作業は、一般的に廃棄物処理費用と言われています。
解体工事費用の内訳は、主に以下の項目で構成されます。
- 仮設工事費: 足場や養生シートの設置など
- 建物取り壊し費用: 建物を解体する作業の人件費や重機費用
- 廃棄物運搬費用: 解体で発生した廃材を処分場まで運搬する費用
- 廃棄物処理費用: 廃材を分別・処分するための費用
- 整地費用: 解体後の土地を整える費用
- 付帯工事費: 外構の撤去や地中埋設物の撤去など
- 諸経費: 届け出費用や保険料など
これらのうち、廃棄物処理費用は全体の費用の約半分近くを占めることが多いです。

その理由は以下の通りです。
- 廃棄物の量が多い: 建物の構造や大きさによって、大量の廃材が発生します。
- 分別・処理の義務: 建設リサイクル法により、廃材は種類ごとに分別し、適切に処理・リサイクルすることが義務付けられています。この分別・処理には手間とコストがかかります。
- 運搬費: 廃材を処分場まで運搬するための費用も、距離や量によって高額になる場合があります。
- 不法投棄の禁止: 不法投棄は法律で厳しく禁止されており、適正な処理には費用がかかります。
もちろん、建物の構造(鉄筋コンクリート造は木造より解体費用が高いなど)、立地条件、アスベストの有無などによって他の項目の費用も大きく変動しますが、一般的には廃棄物処理費用が最も大きな割合を占めると考えて良いでしょう。
解体費用の見積もりを取る際には、廃棄物処理費の内訳をしっかりと確認することが重要です。
アスベストの廃棄費用が高い理由は、主に以下の点が挙げられます。

1. 危険性の高さと厳格な法規制:
- 健康被害のリスク: アスベストは、肺がんや中皮腫などの深刻な健康被害を引き起こすことが知られています。そのため、飛散防止対策を徹底し、安全に処理する必要があります。
- 厳しい法規制: 日本では、アスベストの製造・使用は全面的に禁止されています。また、解体工事などで発生したアスベスト含有廃棄物については、廃棄物処理法や石綿障害予防規則など、複数の法律で厳格な処理方法が定められています。これらの規制を遵守するための対策費用がかかります。
2. 特殊な処理方法と施設:
- 飛散防止対策の徹底: アスベスト廃棄物は、飛散しないように特別な容器に密閉したり、セメントなどで固化したりするなどの措置が必要です。作業員は防護服や呼吸用保護具を着用し、作業場所を隔離するなど、厳重な安全対策が求められます。
- 許可を受けた処理施設: アスベスト廃棄物を処理できる施設は、都道府県知事や政令市長の許可を受けた特別な管理型最終処分場などに限定されています。これらの施設での埋め立て処分には、一般の廃棄物よりも高い費用がかかります。
- 中間処理の必要性: 飛散性アスベスト(レベル1、2)の場合は、そのまま埋め立てるだけでなく、溶融処理などによる無害化処理が必要となる場合があり、さらに費用が高くなります。
3. 専門的な知識と技術:
- 専門業者の必要性: アスベストの処理は、専門的な知識と技術を持った業者に委託する必要があります。これらの業者は、安全な作業に必要な資格や装備、処理方法に関するノウハウを持っているため、人件費や技術料などが費用に反映されます。
- 事前調査の義務: 解体工事などを行う際には、アスベストの有無を事前に調査することが義務付けられています。この調査費用も別途発生します。
4. 運搬費:
- アスベスト廃棄物は、他の廃棄物と分けて、許可を受けた処理施設まで特別な輸送手段で運搬する必要があります。運搬距離や量によって、運搬費用も高額になることがあります。
これらの要因が複合的に作用するため、アスベストの廃棄費用は一般的な廃棄物と比べて非常に高額になります。安全な環境を守るためには必要なコストと言えます。